20代も産みやすい環境を
年間出生数100万人割れが目前だ。厚生労働省がこのほど発表した人口動態統計によれば、昨年誕生した子供は102万9800人で過去最少を更新した。前年比7431人の減少である。
政府は「50年後に1億人程度」の維持を目標に掲げ、大胆な少子化対策に乗り出す構えだ。目標値に対しては批判も強いが、官僚たちの意識を変える効果も期待できる。もちろん、政府は女性への「圧力」と受け止められないよう十分配慮する必要がある。
だが、一律の政策展開では効果は薄い。出産年齢は個々に異なる。何人目の子供を産むかによっても必要となる支援内容は違ってくる。まずは、出産の現状を正確に把握しなければならない。
◆“駆け込み出産”増加
昨年の出生を母親の年齢別に分析してみると、2つの特徴が浮かび上がる。
第1は、前年に比べ35歳以上の出産数が伸びる一方で、20代や30代前半は軒並み減っていることだ。
晩産傾向はかねて指摘されてきたが、いまや35~39歳の出生数は22万9736人で全体の2割強を占める。40歳以上の4万8千人弱も含めれば、実に4人に1人が30代後半以降の母親から生まれた計算となる。