【ニューデリー=岩田智雄】インド政府は13日までに、北部や北東部の中国との実効支配線付近の対中防衛力を強化するため、道路整備などのための開発認可規制を緩和することを決めた。モディ新政権は、中国との経済関係を深める一方で、対中防衛に向けた安全保障を重視する姿勢を明確にした形だ。
印メディアによれば、マツール国防省次官は12日、ジャバデカル環境相と会談し、実効支配線付近から100キロ以内にある80件近い延べ約6千キロの道路建設が、政府の環境保護規制のために保留されているとして対応を求めた。国防省は、支配線付近に新たに軍部隊を常駐させるのをにらみ、部隊の迅速な移動のために道路整備が必要だと訴えていた。
ジャバデカル氏はこれを受け、道路整備促進のため、今後は政府ではなく、州当局が許可を与えるようにして手続きを簡素化すると表明した。
国防省は国民会議派のシン前政権下で同様の申し入れをしてきたが、前政権は中国を刺激しないよう配慮していたとみられ、要請に応じていなかった。