チーム発足以来、今野(G大阪)と吉田(サウサンプトン)が形成してきた不動のセンターバックコンビを、森重(FC東京)が切り崩そうとしている。代表初選出は昨年7月の東アジア・カップだが、W杯メンバー発表後の強化試合3試合のうち2試合に先発。途中出場したザンビア戦では、本田(ACミラン)の得点もアシストした。「自分はチャレンジする側の人間。(レギュラーの)感触は持っていないし、そういうスタイルの方が成長できる」。謙虚な姿勢を貫きながら、大舞台での活躍を固く誓っている。
ザンビア戦でのアシストは秀逸だった。攻撃参加した後半30分、右サイドで相手の寄せを巧みな切り返しでかわし、中央の本田へ完璧なクロスを出した。チームメートは絶賛し、吉田が「モリゲ・ターン」と名付けたほどだったが、「あれは最初で最後。もう1回あんなプレーしてやろうという気持ちはない」と照れ笑いを浮かべる。収穫を感じたのはむしろ別の面だ。「荒削りな部分はあるけど、個人の能力、スピード、体の強さを感覚として味わえた」。同じアフリカ勢のコートジボワールとぶつかるW杯の初戦へ、イメージをふくらませた。
最大の武器は足下の技術。所属先でFKのキッカーを務めたこともあり、代表でも鋭く正確な縦パスを後方から何本も供給する。「自分が持ち上がったら、(前線は)動けば出てくると思ってくれていると思う」。守備はもちろん、攻撃に厚みを加えようと、連係の向上に努めている。(奥村信哉)