【対話の達人】「教える」とは「考えさせる」なり Steve Mogi | 毎日のニュース

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 ときに何かを伝えるのは難しいものですが、とりわけ「教える」という行為は工夫をしないと相手にとっては迷惑千万です。単なる情報伝達で終わってしまうと、教えられる側にとってはただの暗記となってしまい、役に立つ情報と認識されないかもしれません。さらに暗記とは、情報をうのみにすることなので、その知識の応用が利きにくくなります。親が子へ、教師が生徒へ、上司が部下へ知識や技術を伝えるときは、ひと工夫してみましょう。

 例えば、「海の色は青い」と単純に伝えてしまうと実際に海に行けば、やっぱり青いのでそれだけの情報伝達で終わってしまいます。諸説あるようですが、海の色が青いのは太陽光線の散乱説が有力と聞きました。太陽光線は7色に分解でき、その中の青の光は海水に対する透過率が最も高く、この青の光が水の分子や海水中の物質、浮遊している物質にぶつかって跳ね返る散乱現象によって青く見えるというのです。このようなことを教えれば、相手は「海水でなければ、どうなるのだろう?」とか、「海の色は赤くするにはどうすればよいだろう?」という発想につながる可能性があります。教えるというのは、なぜそうなのかという理由や背景をできる限り伝え、考えさせる時間や機会を与える行為であるべきだと思います。