名古屋大太陽地球環境研究所の松見豊所長らの研究チームは大気中の微小粒子状物質「PM2・5」が含む人体に有害な化学成分の分析時間を大幅に短縮し、1時間程度でできる装置を開発した。これまでは結果が出るまで1日程度かかっていた。コストダウンを図り、自治体など向けに実用化を目指す。
研究チームによると、開発した装置は、取り込んだ大気中のPM2・5に特殊なレーザーを照射し成分を分析する。縦横1メートル、幅約80センチで、開発費は3千万~4千万円。PM2・5は肺の奥まで入りやすく、ぜんそくなど呼吸器系疾患のリスクを高める。工場のばい煙や自動車の排ガスに含まれるほか、黄砂や火山の噴煙など自然由来もあり、現在は大気1立方メートル中のPM2・5の量が一定量を超えると注意報が発表される。
松見所長は「実用化すれば、健康への影響に一層留意した注意報発令につなげることができる」と話している。