NHKの籾井勝人(もみい・かつと)会長と幹部職員との間できしみが表面化している。会長就任から3カ月が過ぎ、改革を急ぎたい籾井氏の意思とは裏腹に、局内には会長と理事の「すきま風」を伝える情報が飛び交い、一般職員の間に困惑も広がる。NHKのガバナンス(企業統治)強化に意欲を見せる籾井氏だが、巨大組織をまとめるには多くの難関があるようだ。(三品貴志)
「もう一度調査し直すべきではないか」。NHKの気象予報データの表示ミスが相次いで発覚した4月。籾井氏は全国の放送局での点検結果を報告した幹部職員にこう念を押した。
点検は名古屋放送局でのミス発覚を受けて全国一斉実施したもので、職員は会長の「もう一度」発言に「信頼されていないということだ」とぶぜんとした表情を浮かべる。ただ、今回発覚した一連のミスは、昨年の全国調査で見過ごされていたことも事実だ。
組織の透明化やコンプライアンス(法令順守)強化を目指す籾井氏は3月、関連団体で不祥事が相次いで発覚したことを受け、グループ全体のガバナンス改善策を検討する外部の調査委員会を組織。4月22日には経営委員会の同意を得て理事の交代や大幅な担務変更に着手し、“籾井カラー”の打ち出しに力を注ぐ。
偏向が指摘されるNHK番組をめぐる重要な論点だが…