プロ棋士を目指すアマチュアを対象にした「プロ編入試験規定」が4月18日、日本将棋連盟から発表された。適用第1号の出現に備えた措置だが、そのアマチュア強豪は28日の対局で敗れたため、初の編入試験実施は先送りとなった。
注目の一戦に登場したのは東京都内に住むシステムエンジニア、加来博洋(かく・はくよう)さん(33)。奨励会の元三段で平成20年に年齢制限のため退会したが、アマ棋戦で活躍しプロ公式戦に参加してきた。連盟の規定では、プロ公式戦で10勝以上かつ6割5分以上の勝率を収めると編入試験を受験でき、加来さんは28日の対局に勝てば10勝目となって受験資格を得るはずだった。
「きょうは実力が出せなかった。勝っていたら受験も考えようかという段階で、そんなに意識はしていなかった」。対局後に淡々と話した加来さんだが、次はまた公式戦直結の特定アマ棋戦で優勝しないとプロ公式戦には出場できないため、チャンスがいつになるのかは未定。
プロ編入試験は平成17年、アマ棋戦で実績を積んだ瀬川晶司さん(44)=現五段=が連盟に嘆願書を出し特例で実施されたのを機に、正式に制度化。今回発表された規定では、新四段5人と持ち時間各3時間で対戦して3勝すれば、順位戦を指さないフリークラスの棋士となる。
7月には、公式戦で9勝している元奨励会三段で広島県の会社員、今泉健司さん(45)が初の受験資格を得る対局に挑む。果たしてプロへと続く門戸は開くか-。(藤田昌俊)