東日本大震災から11日で3年2カ月。フランス人作曲家が、自ら潜水士の資格を取り、津波で行方不明となった妻を捜す宮城県女川町の高松康雄さん(57)の姿に心を打たれ、その妻をイメージしたピアノの曲を作り高松さんに贈った。「まるで妻と一緒にいるような曲だ」。震災以降、音楽を聴く余裕をなくしていた高松さんは曲に癒やされ、捜索への意欲をさらに強めたという。
作曲家は、シルヴァン・ギネ氏(35)。きっかけは、地元テレビ局が放送した番組だった。その内容は、パート先の女川湾近くで津波にのまれ、今も行方不明の妻の祐子さん=当時(47)=を捜すため、潜水士の国家資格を取得した高松さんの様子を伝えるものだったという。
震災から3年が経過した今も妻を思い続け、発見に望みを抱いて新たに海に潜る姿に、シルヴァン氏は、信じがたいほどの衝撃を受けた。自らも大切にしている妻がおり、「居てもたってもいられず曲を贈ろうと思った」という。
親交のある日本人ピアニストの植原晴子さん(49)を介し、高松さんと接触。高松さんから人柄を聞いたり、写真をメールで送ってもらった上で、1週間ピアノや音楽に触れず、祐子さん自身を描くことに神経を集中させ、4分超の曲を作り上げた。