【世界鳥瞰】難しさ増すロシアへの対応 国際協力銀行・代表取締役専務 前田匡史 | 毎日のニュース

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 ロシアのプーチン政権によるクリミア半島の併合がわが国の立場を難しくしている。安倍総理はG7の首脳としてただ一人、ソチオリンピックの開会式に参加するとともに、総理就任後プーチン大統領とは5回目となる首脳会談を行った。長年の懸案である北方領土問題の進展には、国内を仕切れる強い政権が交渉相手であることが必須条件であり、プーチン大統領はその条件にかなう。国内の支持率は80%超となり、政権基盤は盤石に見える。

 このような状況下で私は3月末、モスクワに飛んだ。イーゴリ・イワノフ元露外相が主宰するロシア国際問題評議会(RIAC)と日本の著名シンクタンクが共催したトラック2の会議に参加するためだ。ロシア側はパノフ元駐日大使をはじめ著名な日本およびアジアの専門家が顔をそろえ、ロシア外務省関係者もオブザーバーとして出席。会議は日露の信頼関係醸成を主なテーマとして開催されたものだったが、クリミア情勢やウクライナに対するロシアの政策にも広く議論が及んだ。

 ロシア側はクリミア併合が住民投票を経て、クリミア住民の意思と希望に基づいて行われたことをもって、「必要な法的プロセスを踏んでいる」と強調していた。