反タクシン派、タイ上院議長を奪取 インラック氏に新たな打撃 | 毎日のニュース

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 【バンコク=岩田智雄】政治混乱が続くタイで9日、上院新議長に反タクシン元首相派が支持するスラチャイ氏が選出された。議長が反タクシン派に代わったことで、上院で弾劾審議を受けるインラック前首相にとっては新たな打撃となった。反タクシン派はこの日、大規模デモを行い、上院議長らに対し、タクシン派政府に代わる人民評議会を3日以内に設立するために行動するよう要求した。

 議長選にはスラチャイ氏とタクシン派議員の2人が立候補した。上院議員は77人が選挙で選ばれ、残り73人が憲法裁など独立機関の代表で構成する委員会に任命されている。タクシン派議員が多い中、反タクシン派が議長に選ばれたのは、議員らが反政府派の勢いを意識したためとみられる。

 今後、上院の議事運営には反タクシン派の意向が反映される見込みだが、弾劾は、議員の5分の3以上の賛成が必要で微妙な情勢だ。弾劾が決まればインラック氏は、5年間、政治活動を禁止され、選挙に立候補できなくなる。

 反政府派はこの日、「最後の戦い」と銘打ち、バンコクの首相府やテレビ局前などで2万人以上のデモ隊を動員。国営と民間のテレビ局5社に対し、反政府派の声明を生放送し、タクシン派政府に関するニュースを伝えないよう要求した。警察施設前では警官隊がデモ隊に催涙弾を発射し、5人前後が負傷した。