唐組21年ぶり「桃太郎の母」 紅テント、異空間は健在 | 毎日のニュース

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 唐十郎(74)が率いる劇団「唐組」が、10日から6月8日までの週末、都内に紅テントを立て、唐の代表作の一つ「桃太郎の母」を上演する。「唐さんらしいロマンチックな作品。唐さんの解釈を踏襲しつつも新たな作品として立ち上げたい」と演出の久保井研は話している。

 「桃太郎の母」の初演は平成5年。台湾に旅行中、消息を絶った女子大生、真理子。5日後、母のもとに一通の手紙が届く。「待ってて、母さん、わたしの息を届けます」-。名探偵・カンテン堂は助手のまりことともに真理子の足どりを追うのだが…という展開。

 アングラ演劇の旗手、唐らしいイメージの飛躍やケレンと笑いたっぷりの舞台、胸しめつけられるような叙情的なせりふ…。21年ぶりの再演でキャストは一新するが、紅テントの中に存在する異空間は健在だ。

 再演では、脳挫傷からのリハビリ中の唐の演出を踏まえながら、カンテン堂にふんする久保井が演出を行う。「川を流れてきた桃太郎のお母さんは誰なんだろう。そんな発想から、母親や母体につきまとうイメージを水に重ね合わせ、リリカル(叙情的)に描いた作品です。イメージの飛躍をどう舞台に立体化するか。いろいろ挑戦してみたい」と意気込む。

 新宿・花園神社で10、11、31日、6月1、6~8日。雑司が谷・鬼子母神で5月17、18、23~25日。いずれも午後7時開演。問い合わせは唐組(電)03・3330・8118。(亀岡典子)