「元『ももいろクローバー』の…」といった紹介のされ方には抵抗があるのだろう。女優として歩み始めた早見あかり(19)は取材中、“前職”には一切言及せず、10日から全国で公開される初主演の青春映画「百瀬、こっちを向いて。」(耶雲哉治監督)での役作りをめぐる苦労話に力を注いだ。「主演といっても特別な思いはありません。百瀬という女子高校生をしっかりと演じきれるのかと、プレッシャーの方が大きかったですね」
乙一(おついち)(35)が中田永一名義で執筆した同名の人気小説を映画化した本作は、駆け出しの小説家、ノボル(向井理)が久しぶりに故郷を訪れ、高校時代を回想する形で描かれている。
内気で恋することにも臆病な高校生のノボル(竹内太郎)は、先輩の瞬(工藤阿須加)に呼び出され、活発で男勝りの百瀬(早見)を紹介される。瞬には徹子(石橋杏奈)という本命の恋人がいたが、最近、百瀬との浮気が噂されるようになり、ナーバスになっていた。そこで百瀬が出した提案は、ノボルと百瀬が付き合っているふりをして噂を消すこと。嘘で始まった2人の“恋”の行方は…。
好きな人が喜ぶなら自分が傷ついても構わない-。そんな百瀬に早見は戸惑った。「百瀬の恋愛観に共感できないんですよね」。そこで、監督のアドバイスにすがった。監督は「自由気ままに生きる野良猫を意識して演技をしなさい」という。早見は自分なりの感性で構築した百瀬像を体に染みこませていったそうだ。