【ニューヨーク=黒沢潤】北朝鮮の人権侵害について討議する国連安全保障理事会の非公式会合が17日、開かれた。ジュネーブの国連人権理事会で3月、北朝鮮の人権侵害を厳しく非難する決議が採択されて以降、安保理会合は初。拉致被害者家族会の増元照明事務局長も出席する中、各理事国からは北朝鮮への批判が相次いだ。
会合は米国とフランス、オーストラリアが主催。中国とロシアをのぞく13理事国と日本、アイスランドに加え、2人の脱北者も出席した。
出席国からは、人権侵害に関与した個人の責任追及のため国際刑事裁判所(ICC)への付託や制裁実施を求める人権理の勧告実現を求める声が相次いだ。
勧告を実現するためには安保理の公式会合で採択される必要があり、常任理事国の中国とロシアが拒否権を持つ以上、実現の可能性は低い。ただ、「安保理でできるだけ早く正式に取り上げるべきだ」との意見も出た。
中国に対しては、脱北者を母国に強制送還するのは国際的な難民保護規定に抵触するとの批判も出た。
意見陳述の機会を与えられた増元さんは「拉致被害者の命を救済してもらいたい。それが独裁政権に虐げられている北朝鮮人民を救済する道にもつながる」と訴えた。
会合後、国連人権調査委員会のマイケル・カービー委員長は記者団に対し、「中国とロシアが参加しなかったことに失望している」と述べた。