石油元売り最大手のJX日鉱日石エネルギーは16日、平成28年から関東圏で家庭向け電力小売り事業に参入する方針を明らかにした。不毛な価格競争に陥らないよう、自社で手がけているプロパンガスとのセット販売や通信事業者などとの提携も視野に入れ、差別化を図る考えだ。
4月1日に新設した「電気事業部」を担当する西島弘也取締役常務執行役員がこの日、産経新聞のインタビューに応じ、今後の戦略を語った。
電力小売りは28年にも家庭向けを含め全面自由化される見通しだが、西島氏は「当然、(28年は)頭の中にある。自由化された段階で準備に入るのでは遅い」と述べた。
同社は、関東圏を中心に火力発電所を増設し、42年までに発電規模を現状比3倍の400万キロワットに増やす方針。石油製品の国内需要が伸び悩む中、電気事業を「収益の柱」に育て、総合エネルギー企業への転換を目指す。
家庭向け電力小売りについては、都市ガス網から外れた北関東などでは、プロパンガスとのセット割引などを検討。全国に約1万1千カ所あるガソリンスタンドを活用し、ガソリンと電気で共通のポイント制度を導入する案なども浮上している。
ただ、JXは家庭向けビジネスのノウハウに乏しい。
このため、光ファイバー網を敷設してインターネットサービスを全国展開している大手通信事業者などとの提携も積極的に模索する考えだ。