新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文不正問題をめぐり、共著者で理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長の笹井芳樹氏(52)は16日の記者会見で、捏造(ねつぞう)や改竄(かいざん)とされた問題を防げなかったことへの釈明に追われた。STAP細胞の存在は「有力な仮説」と強調したが、新事実はほとんどなく、謎は残った。
■「説得力ある反証なし」
STAP細胞の有無について、笹井氏は「論文の信頼性が損なわれた以上、再現や検証が必要であり、検証すべき仮説とすべきだ」とした。だが、その一方で「有望な仮説で、現時点では説得力のある反証はない」と、従来通り存在を肯定する姿勢も示した。
その根拠として、STAP細胞は(1)胚性幹細胞(ES細胞)などと異なる性質を持つ(2)万能細胞特有の遺伝子が働く細胞塊が形成される(3)受精卵由来の細胞とSTAP細胞由来の細胞が混じり合うキメラマウスを作製できる-などを挙げた。
作製した細胞はES細胞と比べて小さく、遺伝子解析の結果も異なる。ES細胞が持つ高い増殖能力もないことから、ES細胞の混入説を否定。また、細胞塊形成の証拠として、形成過程を自動的に撮影した動画があり「人為的なデータ操作は不可能」と主張した。