ウクライナ東部ドネツク州北部での強制排除開始が伝えられた15日、ウクライナ軍が町に近づいたとの情報が駆けめぐると、同州北部スラビャンスクで警察署など主要拠点の占拠を続ける親ロシア派の緊迫感は一気に高まった。迷彩を施した軍用とみられるヘリコプターがごう音を響かせながら上空を飛ぶ。「戦車が近づいている」。住民の一人は顔をこわばらせた。
「二度と近づくな」。写真を撮るため親ロ派が占拠する市庁舎入り口に近づくと、中から迷彩服に身を包み銃を手にした男が現れて怒声を上げた。市庁舎の玄関付近は土のうで厳重にブロックされていた。
ウクライナ軍が町に入ったとの報道と前後して武装した男らの市庁舎への出入りは激しくなり、緊迫度は急上昇。市中心部に続く道路に設けられたバリケードでも、周囲にいた男らが、ウクライナ部隊が接近していると大声を上げた。
警戒中の男性(20)に、ウクライナ側のものとみられる装甲車などが配備されているという報道について聞くと「でたらめだ」と一蹴した。(共同)