東京電力福島第1原発事故により役場ごと避難している福島県浪江町が11日、震災から3年の節目にあわせ、町内で初の追悼式を開催した。立ち入り規制の緩和を受けたもので、遺族約170人が参列し、故郷で亡き家族の冥福を祈った。
浪江町はこれまで追悼式を仮役場がある二本松市で行ってきた。昨年4月の立ち入り規制の緩和を受け、避難指示解除準備区域内にある葬祭場で開催した。同町の死者・行方不明者は184人。2月末現在で町民全員にあたる約2万1千人が県内外で避難生活を余儀なくされている。
追悼式では、父の鈴木文雄さん=当時(64)、母の十四代(としよ)さん=同(61)、弟の清孝さん=同(24)=の3人を津波で失った仙台市青葉区の准看護師、本居(もとい)春江さん(29)が遺族代表の言葉を述べた。
「心の中ではまだまだ復興途中」という本居さん。文雄さんと十四代さんは今も行方不明で、追悼式に先立ち行われた行方不明者の一斉捜索にも参加した。
それでも「嘆いてばかりはいられない。前向きにならないと」。仕事の幅を広げるため、4月から再び学校に通い、正看護師の資格を取得する。「父や母、弟に『頑張ったね』と言ってもらえる生き方がしたい」と表情を引き締めた。