【マガジン魂】カミオン 復興へ走るトラック野郎 | 毎日のニュース

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 「愛の積荷(つみに)と夢乗せて夜の街道一人旅」-。粋なフレーズと雄々しい絵柄のペイント、磨き上げた金属パーツにカラフルな電飾。いわゆる「アートトラック」を紹介する月刊誌だ。人気映画シリーズ「トラック野郎」(昭和50~54年)の後、アートトラック熱が全国的に再燃した59年に創刊。今年30周年を迎える。

 諸説あるが、最初にトラックを飾ったのは水産物を運ぶ東北地方の運転手らしい。「冷凍技術が未発達だった時代、ぶっ飛ばして市場のせりに間に合わせなければならない。『急いでてごめんなさいね』と、遠くからもわかるよう電飾をつけたとされています」と高吉誠司編集長。良くも悪くもおおらかな時代だった。

 近年はド派手な車をあまり見かけない。「コンプライアンス(法令順守)が重視されるうえ、車のコンピューター化が進んだことで、部品を変えると不具合が出るケースも増えた。(アートトラックの)数自体、減っています」

 とはいえ、個性あふれるアート車への憧れは今も健在。その働きぶりを密着取材した記事や愛車紹介、豪華な内装を競う「男の城」など、読み応え十分だ。

 4月号の特集は、東日本大震災の被災地リポート「陸前三陸浜街道 港町巡礼」。震災は多くの運転手の生命と愛車を奪ったが、心優しき全国の“トラック野郎”の応援を受け、元気に飾った車も増えてきたという。復興を支える美麗トラックは、みちのく路を走り続ける。(芸文社/4月号、840円)

 黒沢綾子