先日巨人の臨時コーチを務めた松井秀喜さん(元ヤンキース)が、若手を前にこんな逸話を披露した。
「ヤンキース時代、(当時の)トーリ監督から“ブルーカラーの選手”だといわれた」。一般的にブルーカラーといえば、主に作業服を着て現場で肉体労働に従事する作業員である。やむなく肉体労働を強いられて…と解釈されることもあるが…。
松井さんいわく、「ブルーとは毎日文句を言わずに働く人のこと。僕もそういう気持ちでプレーしていたのでうれしかった」。優勝のために献身的なプレーに徹する姿は、個々が残した成績を超える。松井さんは日本での長打力を捨て、スモール野球に変えた。そして2009年では日本人選手として初のワールドシリーズMVPに輝いた。
メジャー3年目で初の開幕投手に起用されるレンジャーズ・ダルビッシュの存在にワシントン監督は「彼はわれわれにとって“馬”であることは疑いがないところだ」。馬扱い? 悪い意味ではない。馬は献身的な働き者を意味するのだ。
昨季、世界一の胴上げ投手になったレッドソックス・上原浩治は「本音は先発したいけど…」求められている抑えでよみがえった。秘球スプリットを自在に操り、レ軍ロス捕手は「忍者というしかない。打者が待っている球を知ってる」と驚く。松井さんはブルー、ダルビッシュは馬、上原は忍者…。いずれも献身的な姿への賛辞であった。