【主張】JR北新体制 安全優先の経営取り戻せ | 毎日のニュース

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 レール検査データの改竄(かいざん)など不祥事が相次いだJR北海道の次期社長に、元常務でJR北海道ホテルズ社長の島田修氏(56)を充てる人事が内定した。

 国が事実上の人事権を握る同社トップの入れ替えは、官邸の強い意向によるものだ。次期会長には元JR東日本常務で日本鉄道施設協会会長の須田征男氏(70)が起用される。すでに閣議了解され、新年度に合わせて4月に正式就任する。

 現経営陣の社長と会長は、1年以上の任期を残して退任する。事実上の更迭である。これだけ深刻な事態を招きながら、対策が後手に回り続けた不手際を考えれば当然の措置だ。人心一新はむしろ遅すぎるほどだ。

 一連の不祥事で損なわれた利用者の信頼回復は簡単ではない。鉄道事業者の基本である安心と安全を取り戻すには、トップはもとより現場の社員が抜本的な意識改革の下で一丸となり、再建に全力を尽くすほかない。

 新社長に就く島田氏は、2年前にグループ会社に出るまで、本社で営業や総務を担当した。同社の複雑な労務事情にも通じている経歴が買われた形だが、島田氏自身にも今日の労使関係をこじらせた責任の一端はある。手腕が問われるのはこれからだ。

 今回の人事では、JR北海道の自浄作用には限界があるとして、新鮮な発想を持つ外部からの人材起用を求める声も強かった。だが、地元財界をはじめ火中のクリを拾う者はなかった。島田氏には、生え抜き自らの手で難局を切り開く覚悟を見せてほしい。