東日本大震災の津波で、宮城県石巻市立大川小の児童・教職員計84人が死亡、行方不明になったのは学校側が高台に避難させるといった安全配慮義務を果たさなかったためだとして児童23人の遺族が10日、石巻市と宮城県を相手取り1人当たり1億円、計23億円の損害賠償を求め仙台地裁に提訴する。学校管理下で大きな犠牲を出した問題は震災から3年を経て司法の場で検証されることとなった。
訴えによると、学校側は地震直後、大津波警報や保護者らからの情報で津波が到来する危険を予見できたのに、積極的に情報収集しなかったと指摘。裏山など高台に避難すれば助かったはずなのに、安全配慮義務を怠り、津波が来るまでの50分間、児童らを校庭に待機させ続けたとしている。
津波犠牲者の遺族が、管理者側を相手に起こした訴訟では、仙台地裁が昨年9月、日和幼稚園側に園児の遺族への賠償を命じる判決を言い渡したが、今年2月には、七十七銀行女川支店従業員の遺族の請求を棄却する判決も出ている。