「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」(2007年)でアカデミー賞主演女優賞に輝いた演技派、マリオン・コティヤール(38)主演の「エヴァの告白」が14日から、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開される。希望を求めてアメリカを目指し、夢を打ち砕かれながらも力強く生きる女性を好演している。
1920年代。エヴァ(コティヤール)と妹のマグダ(アンジェラ・サラフィアン)は、ソビエト(現ロシア)との戦いに揺れる祖国ポーランドを逃れて、米ニューヨーク湾内のエリス島にたどり着いた。しかし、審査でマグダは肺病と診断され、隔離されることに。エヴァは迎えに来るはずの叔母夫婦が姿を見せなかったことから、入国を拒否されてしまう。
「移民の島」として知られるエリス島での撮影は許可が下りにくいが、ジェームズ・グレイ監督は島でのロケなしにこの映画は成立しないと考え、粘り強い交渉の末、許可を得た。コティヤールは「撮影があった夜に、スタッフや出演者たちが自分たちの祖父母たちのエピソードを語り合いました。そうやって自分がアメリカ人になった物語を共有したの。すばらしい経験だったわ」と振り返った。
見ず知らずのブルーノ(ホアキン・フェニックス)という男が係員に賄賂を握らせ、エヴァの身元引受人になる。ブルーノはエヴァに好意を示し、紳士的に接するが、エヴァがそれになびかないと態度を一変させ、売春を強要するようになる。
コティヤールはフェニックスの演技を特に激賞した。「知的で特別な人で、いつも葛藤を抱えています。そんな彼が理屈ではなく、心が命じるままの直感で演じていました。彼の作品はすべて見ているけど、今回もまたいいですよ」と語った。(櫛田寿宏)