JR北海道のレール検査データ改竄(かいざん)問題は、北海道警が鉄道事業法違反容疑などで札幌市の同社本社ほかを家宅捜索する刑事事件に発展した。
データ改竄は、5カ月前にJR函館線で起きた貨物列車脱線事故の引き金にもなったとされ、国土交通省と運輸安全委員会が「悪質性が非常に高い」として告発していた。
国交省や同社がこれまで進めてきた調査方式には、身内が身内を聴取する甘さが残ると指摘する声が強かった。強制捜査の対象となるのは当然だ。
検査データの改竄は、人命に関わる重大事故にもつながる犯罪といえる。道警は脱線を予見できたのにレール幅の異常を放置した可能性があるとみて、業務上過失往来危険容疑などでも調べる方針という。司直の手で実態の徹底解明を急いでほしい。
国交省の監査では、データ改竄は相当前から組織ぐるみで広く行われていた疑いが拭えない。
JR北海道がことし1月に発表した調査では、現場の保線部署の7割強にあたる33部署で改竄が確認された。保線担当者の2割近くが「改竄の経験がある」と認めている。驚くべき数字だ。