2月4日から10日までの1週間、同志社大学の国際研修企画として行われた、同志社と香港教育大学の学生交流セミナーに参加してきた。学生同士の国際コミュニケーションの促進が目的で、今回は「国際理解促進におけるとメディアと若者の役割」を主要なテーマとした。(SANKEI EXPRESS)
筆者は引率責任者を務め、「若者のメディア接触と中国理解」と題した基調講演を行った。セミナーの合間には、中国深センとマカオを10年ぶりに訪れる機会を得た。
香港教育大学のカホ・モク教養社会学部長(政治学)やアレックス・チャン講師(メディア学)と入念な事前うち合わせをしてセミナーに臨んだのだが、活発な議論に驚かされた。
香港側の学生が「日本政府の歴史認識に対する批判が香港メディアに出ることがあるが、それはすでに過去のことであると考えている」と発言すると、出席した香港側の31人の学生全員がそれに賛同。しかも、2人の中国大陸からの留学生も同意し、「中国メディアの伝える政府の公式見解は市民の意見とは違うことが多い」との発言まで飛び出した。
この率直さには驚いたが、時間をかけて議論をしていくうちにその背景が分かってきた。香港が中国に返還される前の英国統治時代は、総督を自ら選ぶことができず、返還後も大陸の中国政府に抵抗することが難しく、政治に対してある種の「あきらめ」を感じているのではないだろうか。