財務省、異例の予算繰り越し呼びかけ 公共事業、自治体に単年度主義“返上”促す | 毎日のニュース

毎日のニュース

今日の出来事をニュース配信中!

 国の財布のひもを締めるのが仕事の財務省が、地方自治体に対し、使い残した公共事業予算を次年度に持ち越すよう促す異例の行動に乗り出した。建設業界の人手不足や資材高騰の影響で、予算の単年度消化にこだわると公共事業の中止が増え、4月の消費税増税後の景気の落ち込みを防ぐために講じた経済対策の効果がそがれる懸念が出てきたためだ。財務省では予算の次年度送りを認める繰り越し制度の手続きも簡略化する方向で検討に入った。

 安倍晋三政権は、機動的な財政出動を経済政策の軸の1つに据え、景気浮揚効果が期待できる公共事業予算を手厚く確保している。平成24年度補正予算では2兆4千億円を計上。消費税率の引き上げに対応した景気対策の補正分を含めた25年度予算は6兆3千億円、26年度当初予算案では約6兆円を手当てした。

 しかし、人手不足と工事コストの上昇で公共事業は入札の不調や工期遅れが増えている。国土交通省によると、25年度(4~12月実績)の土木事業の入札不調の発生率は、例えば岩手県では24年度(同)の18%から40%に急上昇した。予算を繰り越せないと公共事業の執行を諦めるケースが相次ぐ恐れが出ている。

 このため財務省は先月下旬、地方の財務局を通じて予算の次年度繰り越しが認められた事例集を示して、自治体に繰り越し制度の積極活用を勧める異例の呼びかけを行った。