【ニューデリー=岩田智雄】ネパール制憲議会は10日、第1党ネパール会議派のスシル・コイララ総裁を新首相に選出した。2008年に新憲法制定に向けた制憲議会が発足して以降、親インドの会議派が政権に復帰するのは初めて。コイララ氏は膠着(こうちゃく)状態に陥っている新憲法制定に取り組む。
コイララ氏は9日、現地メディアに、「6カ月で憲法案を起草し、1年以内に公布する」と述べた。
ネパールでは、強権政治を敷いたギャネンドラ国王への反発から、各党が反王政で結束して、立憲君主制から連邦共和制に移行。08年の制憲議会選挙では、旧反政府武装勢力、ネパール共産党毛沢東主義派が政権を取り、毛派のダハル書記長や統一共産党のカナル議長らが首相を務めてきた。
しかし制憲議会は、新憲法制定で合意できず解散。昨年11月のやり直し選挙では、親印の会議派が第1党、統一共産党が第2党となった。
毛派は党内の路線対立から分裂し、ネパール統一共産党毛沢東主義派となって第3党に転落した。
ただ、会議派は単独で過半数を確保できず、統一共産党と連立して会議派のコイララ総裁を首相に選出することで合意した。会議派総裁の首相就任は、制憲議会発足まで首相を務めたギリジャ・プラサド・コイララ氏以来となる。