【新聞に喝!】選挙前の支持率開示を 京都大学大学院教育学研究科准教授・佐藤卓己 | 毎日のニュース

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 関西に住んでいるため、東京都知事選のニュースをあまり目にしない。3日付産経大阪本社版1面の選挙関連は「大阪市長出直し選出馬へ」である。もちろん、東京本社版トップは「舛添氏さらに浸透」と世論調査の結果を報じていた。同日付の朝日大阪本社版も1面トップは「大阪市長出直し選」だが、その横に「舛添氏優位保つ 本社情勢調査」がある。

 都知事選の結果は本日夜には明らかになるが、こうした情勢分析報道において、新聞では次のように書くことがお約束になっている。「まだ投票先を決めていない約3割の有権者の動向も注目される」(産経)、「投票態度を明らかにしていない人は4割おり、情勢は変わる可能性がある」(朝日)

 本当にそうだろうか。

 書いている記者がそう信じているとは思えない。ウィリアム・パウンドストーン『選挙のパラドクス』(青土社)によれば、アメリカ大統領選のデータでは、選挙運動の説得次第でどちらの候補にも投票するような「真の浮動票」は、有権者の6%にすぎない。当選1人の自治体首長選挙は大統領選と似ており、数値は同じ程度だろう。まだ投票先を決めていない有権者が「約3割」であれ「4割」であれ、終盤で結果が動く可能性は少ない。