【名護市長選】自主投票「黙認」 公明ねじれ 自民不満 | 毎日のニュース

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 12日告示された沖縄県名護市長選で、公明党は党沖縄県本部の自主投票方針を事実上「黙認」する形で臨む見通しだ。自民、公明両党の連立政権は国政、地方を問わず選挙戦で足並みをそろえるのが通例だが、今回は元県議の末松文信氏(65)を推薦した自民党県連の対応とは隔たりがある。自民党県連内では公明党への不満が渦巻いており、市長選の結果次第では今後の政権運営に影を落としかねない。

 末松陣営によると、12日の出陣式に公明党県本部幹部らは出席しなかった。自民党県連は前公明党代表の太田昭宏国土交通相らに応援を要請しているが、一向に返事はない。

 公明党が末松氏の支援に二の足を踏むのは、県本部が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する立場を変えていないためだ。

 一方、政府・与党として県内移設を容認する党本部は9日、県本部の自主投票方針を了承せず、井上義久幹事長が県本部との「ねじれ」解消に乗り出した。だが、告示日を迎えても折り合いがつけられない「吊るし」(党幹部)のままだ。

 党本部は引き続き末松氏支援を県本部に働きかける構えだが、自民党県連内では公明党への批判が強まっている。ある自民党県連幹部は「自公協力の下、公明党国会議員らの選挙戦を支援してきたが、恩知らずも甚だしい」と憤る。

 自民党県連は不信感も高めている。11月に予定される県知事選で、辺野古移設に強く反対している那覇市の翁長雄志(おなが・たけし)市長を担ぎ出そうとする動きが公明党県本部の一部にあることを嗅ぎ取っているからだ。

 革新系も巻き込み、「オール沖縄」で辺野古反対という図式を作り上げ、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事かその後継者に弓を引く-。その策謀は単なる「野合」にすぎず、連立を組む自民党への背信にほかならない。別の自民党県連幹部は「連立の終わりの始まりだ」とも警告する。

 名護市長選をめぐっては、民主党が自主投票とする方針を決定。共産、生活、社民の各党は稲嶺進氏(68)を推薦している。