【鑑賞眼】日本テレビ開局60年特別舞台「真田十勇士」 | 毎日のニュース

毎日のニュース

今日の出来事をニュース配信中!

 ■華やかな娯楽スペクタクル

 「歴女」人気ナンバーワン、真田幸村が率いる真田十勇士。戦国末期の英雄を、スターと映像をふんだんに使い、華やかな仕掛けでディズニーランドのアトラクションのように彩った大娯楽スペクタクルだ。

 マキノノゾミ脚本で特徴的なのが、幸村(加藤雅也)を「作られた英雄」という虚像に困惑する等身大の男に描き、嘘つきで通った猿飛佐助(中村勘九郎)と“嘘”で結びつけた点だ。「嘘もつき通せば真になる」というお調子者の佐助が、徳川と豊臣最後の決戦を前に、霧隠才蔵(松坂桃李)と組んで、幸村というカリスマ武将の“振付師”となる。十勇士の命がけの“嘘”が、真になっていく奮闘を見せる。

 登場人物が多い分、人物整理が難しいが、堤幸彦演出は映像をふんだんに使い、俳優名や役名、大坂冬の陣、夏の陣の布陣もテロップのように舞台上に流し、分かりやすさに徹する。背景や転換でも映像を駆使。石垣のような大型ブロックを縦横に動かし、そこに画像を写して転換を早め、スピーディーに展開する。

 出演者もアドリブ込みで飽きさせない。殺陣では宙乗りや分身の術で見せ、勘九郎は歌舞伎の手法で沸かせる。幸村役の加藤が笑える二枚目。映像出演の家康役、平幹二朗とナレーションの坂東三津五郎がごちそう。各十勇士の見せ場が必要なのだろうが、3時間半の舞台は、殺陣でカットの余地あり。2月2日まで、東京の青山劇場。2月7~19日、大阪・梅田芸術劇場。(飯塚友子)