日本初演 舞台「トライブス」 主演・中嶋朋子「当たり前 問い直す」 | 毎日のニュース

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 「言葉やコミュニケーションとは何か。“当たり前”は、実はファンタジーではないか。そんなことを考えさせる奥深い戯曲です」

 女優、中嶋朋子(42)が13日、新国立劇場(東京・渋谷)で初日を迎える英劇作家ニーナ・レインの本邦初演作「トライブス(種族)」(木内宏昌翻訳・台本、熊林弘高演出)に主演する。聴覚障害者のビリー(田中圭)が、遺伝的に耳が不自由になる運命を背負うシルビア(中嶋)という恋人を得たことで、彼とその家族に生じる変化を繊細に描く。

 言葉数は多くとも通じ合わないインテリ一家と、手話で意思疎通する恋人同士のやり取りから、言葉の危うさや限界、コミュニケーションで大切なものは何かが浮かび上がる。

 「家族でもコミュニケーションを取っているか。分かったつもり、伝えたつもりではないか。戯曲を読む度、自分の体験に跳ね返りハッとさせられます」

 戯曲には恋人同士の「……」と書かれた“せりふ”が頻出。舞台では手話で表現されるこの空白を埋めるため、台本作りにもかかわり、聴覚障害者とのワークショップも行った。

 「彼らは鮮やかにコミュニケーションを取る。個々の差異を超え、つながるのが社会と(作品に)いわれた気がします」

 情報端末が発達し、ネット上の言葉の暴力が珍しくない現代、人をつなぐものは何かを見つめ直す舞台になりそうだ。26日まで。チケットセンター(電)03・5432・1515。手話通訳付きの日あり。(飯塚友子)