【回顧・激動経済】相次ぎ国内高炉の休止を決定 コスト競争力向上へ | 毎日のニュース

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 国内の大手鉄鋼メーカーが相次いで高炉の休止を発表した。国内の需要見込みに見合った生産体制の整備を急ぎ、最適なコスト態勢の構築を図る。

 新日鉄住金は3月、2013~15年の中期経営計画の中で、君津製鉄所(千葉県君津市)の高炉3基のうち1基を16年3月末までをめどに休止すると発表した。残った2基の高炉の稼働率を上げるなどして、粗鋼生産量は維持する方針だ。

 一方、神戸製鋼所も5月、高炉を加古川製鉄所(兵庫県加古川市)に集約し、神戸製鉄所(神戸市)の高炉を18年3月期をめどに休止すると発表した。

 復興需要による建築向けなど鋼材需要は好調。20年の東京五輪開催へ向けたインフラ整備などで鋼材の需要はますます強まりそうな勢いだ。

 だが、自動車や電機など主要な需要家による生産の海外シフトは続き、日本での鉄鋼需要は今後も、年6000万トン前後で推移するとみられる。

 さらに海外では中国メーカーの増産攻勢で劣勢を余儀なくされている。品質などにおいて日本の鋼材は他の追随を許さないが、ボリュームゾーンである汎(はん)用(よう)製品では、そのコスト競争力で後(こう)塵(じん)を拝する。

 「われわれが負けているのはコスト競争力だけ」(新日鉄住金幹部)という中、国内メーカーは高炉の休止でコスト削減を徹底する。