食品大手マルハニチロホールディングスの子会社「アクリフーズ」の群馬工場(群馬県大泉町)で製造された冷凍食品から農薬「マラチオン」が検出された問題で、群馬県は30日、同工場への立ち入り調査の結果、「通常の製造工程で農薬が混入した可能性は低く、何者かが混入した疑いも否定できない」との見解を示した。県警も意図的混入の可能性があるとみて捜査を始めた。農薬混入は「人為的」である可能性が強まってきたが、慎重な見方を示す専門家もおり、混入経路の解明が焦点となっている。
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◆苦情地域にばらつき
アクリフーズによると、商品の製造工程でマラチオンは一切使われておらず、工場内からも見つかっていない。ただ、消費者から苦情のあった地域は東京都、大阪府、福岡県などバラバラで、流通段階で混入したとも考えにくい。
同社が県に30日提出した資料によると、苦情があった11商品のうち7商品9件でマラチオンを検出。国が定めた残留基準値は0・01ppm。最大値はコーンクリームコロッケの1万5千ppmで、基準の150万倍だ。
農薬に詳しい立川涼・愛媛大名誉教授(83)=環境化学=は「通常の製造工程ではまず混入が考えられないほどの高い数値。どこかでミスも含めた人為的な混入があったのではないか」と推測。その上で「時間がたてばガス化するので、原材料に残っていたとは考えにくい」と話した。