【モスクワ=遠藤良介】ロシア南部のボルゴグラードで2日連続の爆破テロが発生し、来年2月7日に開幕するソチ冬季五輪に向けた治安が強く懸念される状況となってきた。連続テロは五輪阻止を狙うイスラム過激派の犯行である可能性が強く疑われ、テロの連鎖を止められない場合にはプーチン露大統領の威信にも傷がつくのは必至だ。
◇
イスラム過激派が拠点とする露南部の北カフカス地方ではテロが頻発しているが、近年、同地方外での発生はまれになっていた。ボルゴグラードで10月、路線バスが爆破され6人が死亡したのに続く今回の連続テロは、テロリストが同地方外の主要都市を標的にしうる現実を改めて示した。
戦略的要衝に位置するボルゴグラードは、第二次大戦でソ連軍が激戦の末にドイツ軍を破り、ソ連勝利への転換点となった「スターリングラード攻防戦」の舞台として知られる。プーチン氏が2月、攻防戦終結70周年を祝うために訪れた同市を、テロリストは「ロシアの勝利の象徴」とみなして狙った可能性がある。
北カフカスをめぐっては、プーチン氏の指導した1999~2002年の第2次チェチェン独立紛争後、強権統治とテロリスト掃討作戦の強化によってチェチェン共和国の情勢が比較的安定した。その半面、チェチェン独立派武装勢力が北カフカス地方一帯に拡散し、イスラム色を強めて先鋭化した経緯がある。