台湾軍の志願制移行「黄信号」 不人気…人集め躍起 | 毎日のニュース

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 【台北=吉村剛史】徴兵制から完全志願制への兵制改革を進めている台湾で、今年の志願兵募集の達成率が11月末時点で約30%だったことが分かった。兵制改革は馬英九政権の公約だけに実現への黄信号は政権にとって打撃で、当局では新年から志願兵の昇給を決め、海外での募集も検討するなど対応に躍起だ。

 台湾では少子化に伴い徴兵制への社会的不満が高まり、馬総統が2008年の総統選で廃止を公約に初当選。現在は徴兵制(1年間)と志願制を併用している。当初、14年末までの志願制への完全移行を目指していたが、昨年の志願兵募集の達成率が56%にとどまり、国防部(国防省に相当)は、完全移行時期を16年末まで2年間先送りすることを決定した。

 今年の志願兵の応募状況はさらに低調で、立法院(国会)で国防部が行った報告によると、今年の募集目標2万8531人に対し、11月末での応募は8603人。うち激務の機甲科兵は募集1077人に対し応募41人、離島勤務の部隊も285人に対し11人にとどまっている。

 国防部はこれまで、特撮映画風のテレビCMを流したり、漫画版の国防報告書を出版したりするなど若者にアピール。女性兵士採用も推進しているが、対中関係改善が進む中、長年中国軍と相対してきた軍の求心力は回復していない。

 今年7月には兵役中の陸軍下士官の急死が「虐待死」として社会的に批判を浴びるなど、不祥事も軍の人気低迷に拍車をかけ、一部野党議員は「徴兵制に戻すべきだ」と主張している。