【シネマティックな人々】吉永小百合の映画への誠実な思い 「ふしぎな岬の物語」製作発表での風格 | 毎日のニュース

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 映画に携わる者にとって一度は会ってみたい存在の筆頭が、吉永小百合ではないだろうか。そんな“最後の映画女優”が主演だけでなく企画も手がける「ふしぎな岬の物語」(成島出監督)の製作発表会見が、12月18日に東京・内幸町の帝国ホテルで開かれた。映画記者の端くれとして押っ取り刀で駆けつけたが、初めて間近に見る彼女は若々しく元気いっぱいで、ユーモアを交えながら受け答えをする姿に改めて心を奪われた。

 会見はまず、吉永が1人で壇上に登場。立ったまま報道陣に感謝の言葉を述べた後、「長いこと映画の仕事に携わってきて、俳優一筋でやって参りましたが、今回は企画という立場でもあり、最初にご挨拶させていただきます。大変、緊張しています」と上品な語り口で話し始めた。

 この映画は、森沢明夫の小説「虹の岬の喫茶店」を原作に、房総半島の明鐘(みょうがね)岬に実在する喫茶店に集まる人々と女店主との交流を描く。吉永と、続いて登壇した成島監督によると、2人は撮影監督の長沼六男カメラマンの紹介で出会い、ぜひ一緒に映画を撮りましょうと意気投合。どういう作品がいいか2人でたくさんの本を読んで探していたところ、吉永が原作者本人からこの本を読んでほしいと手渡され、「これなら温かい作品ができる」と確信、映画に向けて動き出したという。