着付けが不安で、しまい込んだままの着物はありませんか? 新年に久しぶりに着てみようと思う人のために、美しく着こなせるポイントを東京・蒲田の着物専門店「丸や呉服店」の店主、谷加奈子さんに聞いた。(日野稚子)
●ポイント押さえ
着物に再挑戦するのは勇気がいる。着慣れていない感じが見た目で分かってしまうためだが、谷さんは「着こなしには押さえるべきポイントがある」と話す。
後ろ姿をきれいに見せ、女性らしさを強調する襟足は長襦袢(じゅばん)の着付けの良しあしが影響する。ポイントは襟が鎖骨にぴったり付くように着ること。長襦袢の後ろ襟が調整され、その上に重なる着物の襟足も美しく見える。襟元全体がだぶついてしまった場合も長襦袢の後ろ身頃を下にひっぱり、鎖骨に付くようにすると解消できる。「長襦袢を着物と一緒に用意したのに体形が変わって合わなくなる人もいる。既製品での新調なら裾のはみ出しにくいセパレートタイプがお勧め」(谷さん)
長襦袢を着たら、背中の中心で合わせて着物を重ねていく。このとき、腰ひもをしっかり締めないと着崩れする。締め方にもコツがある。
腰ひもは前から後ろに回して後ろで交差させ、両端を前で縛る。きつく締めるため、結び目の脇に両手の親指を差し込み、ひもに沿って後ろの交差部分まで手を回したらひもをつかんで横方向にひっぱる。これでひもの緩みが解消される。結び直しでは、ひもを2回くぐらせて結び目を作ってから両端の左右を反転させ、上から下向きにひもにはさむと緩みにくい。