警察当局が薬物事件で誤認逮捕するケースが相次いでいる。警視庁では昨年3月に引き続き、今年10月にも脱法ドラッグをコカインと誤鑑定したことが誤認逮捕につながったため、コカインの簡易鑑定を原則中止とする事態に発展した。なぜ、同じ過ちが繰り返されるのか。背景には、脱法ドラッグの新種が続々と開発され、社会に蔓延(まんえん)している状況に、現場の意識と鑑定技術が追いつかない現状がある。(荒船清太)
コカインと同じ反応…実は脱法ドラッグ
警視庁葛飾署刑事組織犯罪対策課の30代の男性巡査長が10月26日午後11時すぎ、コカインの疑いのある白い粉末を所持していたとして、麻薬取締法違反容疑で男性を現行犯逮捕し、上司に報告した。
「コカインで現行犯? すぐに釈放しろ」
上司はこう指摘し、直ちに薬物事件を専門に担当する本部の組織犯罪対策5課に相談。科学捜査研究所に緊急鑑定に出した。
さかのぼること1時間余り前。同署地域課の警察官が同日午後10時ごろ、東京都葛飾区内の路上に止めた車の中にいた男性を職務質問し、ズボンから白い粉末の入ったポリ袋を見つけた。警察官は薬物担当の巡査長を呼び、コカインの簡易鑑定を実施した。
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