政府は、高齢化で増加が続く国民医療費を抑制するため、具体的な手法や数値目標を盛り込んだ中長期の工程表の作成に乗り出す。個人の受診記録や薬の処方履歴が記録されているレセプト(診療報酬明細書)の電子データ活用や、後発薬(ジェネリック医薬品)の使用促進などが盛り込まれる見通しだ。15日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で民間議員が提言する。
国民医療費は平成15年度の31兆5千億円から、25年度には41兆8千億円へと10兆円以上も増える見込み。医療費を含めた社会保障関係費は国の政策的経費の約半分を占め、医療費削減が重要課題となっている。
民間議員は、来年4月の消費税増税を控え、26年度予算編成における医療費抑制と同時に、持続可能な社会保障制度の構築が必要と主張。工程表の策定後は、国に対して定期的な検証を求める。
民間議員が注目しているのはレセプトの電子データの活用だ。厚生労働省によると、レセプトの電子化は、病院、歯科医院、調剤薬局の合計で92・3%(今年5月時点)。広島県呉市などの自治体は電子データを活用、保健師による訪問指導などを実施して医療費削減に取り組んでいる。