ライターの「僕」が面会したのは、2人の女性を殺害した罪で死刑判決を受けた被告。事件には不可解な点が多く、犯行動機も不明のままだ。一体、被告は何を隠しているのか? かかわった男を破滅に導いてしまう被告の姉の正体とは?…。
猟奇殺人犯との面会、という先行作品を想起させる設定から始まる物語には驚きの結末が用意されている。犯罪者の内面を徹底して掘り下げた、恐ろしくもリアリティーに満ちた長編小説。
大江健三郎賞受賞作『掏摸(スリ)』が米紙LAタイムズ主催の文学賞にノミネートされた気鋭の新境地。(幻冬舎・1365円)