【主張】2+2と辺野古 移設容認で確実に国守れ | 毎日のニュース

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 日米両国は安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書で、米軍普天間飛行場の「唯一」の移設先に、沖縄県名護市辺野古を改めて挙げた。

 これを受けて、岸田文雄外相と小野寺五典防衛相が仲井真弘多(ひろかず)知事を訪ねて協力を要請したのに対し、知事は「理解できかねる」と反論し、県外移設を主張した。

 だが、尖閣諸島を抱える沖縄は国の守りの最前線である。知事は沖縄を含む日本全体の平和と安全を確かなものとするという見地に立ち、政治家として、辺野古移設の容認を決断してほしい。

 岸田、小野寺両氏は知事への協力要請の際、日米地位協定の運用を改善し、普天間配備の米軍輸送機MV22オスプレイの訓練の県外移転を促進するといった沖縄の負担軽減策を合わせて伝えた。日米両政府は、今後もこうした施策を誠実に進めなければならない。

 移設の前段となる辺野古沖の公有水面埋め立ての可否を、知事が判断する時期は「12月以降」とされ、間近に迫っている。

 2プラス2は、日本周辺の安全保障環境や沖縄の負担軽減問題を総合的に勘案して、辺野古移設しかないと判断した。

 両政府からの安全保障上の要請と県外移設を望む地元感情の板挟みで、知事が苦しい立場に置かれているのは理解できる。しかし、安全保障に責任を持つ両政府の政治的意志が確認されたことの重みと、負担軽減の努力を判断の材料に加えてほしい。

 尖閣奪取を狙う中国は公船の領海侵入を常態化させている。9月には付近に無人機も飛来させた。核・弾道ミサイル開発を強行する北朝鮮にも備える必要がある。

 沖縄県民も厳しい国際情勢を肌で感じてはいる。県が昨年11、12月に実施した「県民の中国に対する意識調査」では、中国に良くない印象を持つ人が89%もいた。県は尖閣問題が影響したとの分析を示している。

 日米同盟の抑止力強化は国民全体の利益だ。それには辺野古移設が欠かせない。市街地にある普天間が現状で固定され、事故が起きれば取り返しがつかない状況に陥る。人的、物的被害が発生し同盟自体が揺らぎかねないからだ。

 国民も沖縄の負担がいかに重いものか理解している。その軽減に加え、政府が沖縄振興に一層努力することも不可欠である。