【探訪~水のある風景】深まる秋、夕日も鮮やかに 島根県 宍道湖 | 毎日のニュース

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 太陽がゆっくりと遠くの山に落ちていった。辺りは黄金色からオレンジ、紫へと染まり、やがて目の覚めるような赤に変わった。「うわぁ」…。見物に訪れた人たちの感嘆の声が、あちこちから聞こえてきた。

 島根県の松江、出雲両市にまたがる宍道湖(しんじこ)。シジミの産地として知られる周囲約47キロの湖は、松江市に位置する東側の湖畔から望む夕景にも人気が集まっている。

 「日本の夕陽百選」にも数えられており、松江観光協会によると夕日が最も美しくなるのが秋、特に10月だという。「太陽の沈んでいく位置がよく、晴れの日が多い」のが理由だ。

 日が傾くと湖畔の「宍道湖夕日スポット」には、長い影を落として、一人、また一人とギャラリーが集まり人だかりができあがる。一帯が夕闇に包まれ単色の世界になると、湖にポツンと浮かび上がってくる島がある。宍道湖唯一の島、嫁ケ島(よめがしま)だ。この時期は島内に立つ鳥居などがライトアップされ、より鮮やかに見える。

 嫁ケ島には少し悲しい伝説が残る。しゅうとめにいじめられた若い嫁が、実家に帰ろうと凍った湖上を歩いていたところ、氷を踏み抜いて亡くなった。それを哀れんだ神様が島を浮かび上がらせた-というものだ。そんな逸話と闇に浮かぶ島が夕日の魅力を一層、引き立てている。