みずほ銀行が提携先の信販会社を通じて暴力団員など反社会的勢力へ融資していた問題を受け、メガバンクがグループの信販会社と暴力団などに関する情報の共有化を急いでいる。みずほ銀は11月にもオリエントコーポレーション(オリコ)と、融資先が反社会勢力か否かを照会する情報を共有する。同様に三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行もグループの信販会社と情報を共有化する方針だ。各行は顧客情報を信販会社と共有し、審査の強化につなげる狙いだ。
問題となった提携ローンは、顧客が自動車や貴金属などを購入する際、信販会社が顧客の返済能力を審査し、銀行が顧客と契約して融資する仕組みだ。
みずほ銀は融資後に改めて顧客の審査を行っていたため、反社会的勢力が顧客となった事実の把握が遅れた。オリコと融資先の人物照会のデータベースを共有し、「入り口で同時にチェックできる」(みずほ銀の佐藤康博頭取)態勢に改める。
他のメガバンクでも、三菱東京UFJ銀はグループのジャックスと、三井住友銀も同じくセディナと、それぞれ情報システムを共有化する方針だ。現時点でこの2行は提携ローンを扱っていないが、グループで審査能力を高めるという。
みずほ銀の問題を受け、関連の業界団体も対策の強化に乗り出した。信販会社などが加盟している日本クレジット協会は、会員各社が暴力団を排除するための対応策などを今月までに調査する。全国銀行協会は反社会的勢力に関連するデータを多く保有する警察庁と、情報を共有できるよう協議を進めている。
日本クレジット協会によると、平成23年の提携ローンの新規契約額は前年比5%増の2兆2111億円と拡大している。
提携ローンは、信販会社にとって銀行が持つ巨額の資金をバックに契約が拡大できるメリットがあると同時に、銀行も信販会社の顧客網を活用して融資を拡大できることから、契約は増加傾向にある。金融機関は融資の適正化に向け、対応を急ぐ。