【中高生のための国民の憲法講座】第15講 長尾一紘先生 | 毎日のニュース

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 ■外国人参政権の違憲性

 外国人の選挙権問題を考えるさいには、国政選挙と地方選挙を分ける必要があります。国政選挙については、学説はほぼ一致して違憲であると考えています。国民主権、民主主義の理念は、「国民の自己統治」を要求していますが、外国人の選挙参加によって、明らかにこの理念が否定されることになるからです。

 地方選挙については見解が分かれますが、やはり違憲説が正しいとみるべきです。

 ◆外国人選挙権の違憲性

 その理由として、第一に、合憲説は地方選挙の結果が国政に影響を与えないということを前提にしていますが、この前提そのものが成立しません。自治体選挙が国の防衛政策に重大な影響をもちうることは、平成22年1月に行われた、沖縄の名護市市長選挙の結果においても明らかです。

 この選挙では米軍基地の移設問題が争点でした。反対派の候補者が当選しました。この結果、基地の移設が困難になりました。

 地方選挙が国政に重要な影響を与えうるものである以上、地方選挙に外国人を参加させれば、外国人が国政に影響力をもつことになってしまいます。

 したがって外国人に選挙権を与えることは、地方選挙であっても違憲と考えるべきです。

 さらに大きな問題があります。選挙権を与えるためには、その外国人が日本国のために選挙権を行使することが前提条件になります。現在の日本において、これを期待することはできないのではないかと思われます。

 在日韓国人には、韓国の憲法上、韓国への忠誠義務が課されています。したがって、たとえば島根県の地方選挙のさいに竹島の帰属が争点になった場合において、在日韓国人は、韓国の国益のために投票することになると思われます。

 必ずしも友好的とはいえない国々に囲まれている日本において、外国人の選挙権は、日本の将来にとって重大な危険をもたらすのではないかと思われます。