点検・経済対策(5)「自動車課税の見直し」 環境性能加味した方式検討 | 毎日のニュース

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 「自動車税制の抜本的な見直しをお願いしたい」

 消費税増税の影響を検証した8月下旬の集中点検会合。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は、消費税率が平成27年10月に予定通り10%に引き上がると国内新車販売が93万台減少するとの見通しを示しながら、自動車課税の見直しを強く求めた。

 10月1日。安倍晋三首相が消費税率8%への引き上げと同時に打ち出した経済対策。その中で「自動車課税の見直しを行う」ことが盛り込まれた。26年度税制改正に向けた年末の政府・与党の議論で先行しそうなのが乗用車(軽自動車を除く)の本体価格の9割を基準に、その5%に税金が課せられる自動車取得税(地方税)の見直し。購入時に消費税と二重課税される問題を抱えているためだ。

 同税については、消費者の負担を減らすため、消費税10%段階での廃止が決まっているが、さらに前倒しでの減税を検討する。

 ただ、取得税が廃止されると1900億円の地方税収の減収につながる。代替財源がなければ地方にとっての影響は避けられず、全国知事会は、8日にまとめた提言で取得税に代わる安定財源の確保などを国に求めた。地方の税収を考えて総務省も、自動車保有者が納めている自動車税(地方税)を、現在の排気量基準に加えて、新たに環境性能も加味して課税する方式に変える方向で検討に入った。購入時に支払う自動車税を、環境性能の高い車について減税する一方、燃費の悪い車は課税強化する方向で調整する。

 ただ新たな仕組みで税率が極端に低い軽自動車が増税になる恐れがある。自動車業界や消費者からの不満が強まり、調整が難航する可能性もある。今後の議論の行方は波乱含みだ。=おわり

(この連載は今井裕治が担当しました)