【石平のChina Watch】「中国夢」…習主席と李首相は同床異夢 | 毎日のニュース

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 10月1日は中国の「国慶節」、つまり建国記念日だ。人民日報の1面は恒例の祝賀社説を掲載したが、そのタイトルはずばり、「現代中国のために夢の力を結集せよ」である。昨年11月の習近平政権発足以来、習国家主席自ら言い出した「中国夢」というスローガンは今や政権の最大のキャッチフレーズとなっている。習主席自身が日々念仏のように唱えている以外に、全国の宣伝機関を総動員して一大宣伝キャンペーンを行い、国民への浸透を図っている。

 上述の人民日報社説は、まさに「中国夢」の宣伝キャンペーンに沿ったものである。社説は習主席の言葉を引用しながら「中国夢」の「偉大なる歴史的・未来的意義」を熱っぽく語り、「夢」という言葉を連呼してテンションを上げている。「習主席による、習主席のため」の提灯(ちょうちん)論説そのものである。

 だが、同じ1日付の人民日報の2面に掲載されている一通の講話は、それとは趣をまったく異にしている。

 9月30日、中国国務院は国慶節のための祝賀会を催した。そこで祝辞を述べたのは国務院総理(首相)の李克強氏である。翌日の人民日報に掲載された祝辞の全文を読むと、中国政治に敏感な読者なら誰もが、その異様さに気付いたはずであろう。