景況感の改善や来年1月に始まるNISA(少額投資非課税制度)などを背景に、資産運用への関心が高まる中、フィデリティ投信が運用する投資信託「USハイ・イールド・ファンド」の純資産高が1兆円を超えた。純資産高が1兆円を超える投信は、最近では国際投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン」だけだったが、幅広い投信への資金流入の動きが強まっている。
USハイ・イールドは比較的格付けの低いドル建て社債で運用する投信で、平成10年4月に設定された。値動きが株式ほど激しくない一方で、米企業の成長を取り込める商品として人気を集めた。運用実績の高さなどから徐々に人気が高まった。昨年後半からの円安や、投資家心理の改善で新規投資に弾みがつき、今月、初めて純資産高が1兆円を超えた。フィデリティ投信商品マーケティング部の青木康アソシエイト・ディレクターは「当初はリスクの高い投信とみられていたが、資産形成に役立つ商品として認知され始めた」と分析している。
投資信託協会によると、8月の投信の販売額は6兆305億円で、解約・償還額を差し引くと4412億円の資金純増となった。株式投信に限ると7カ月連続の流入超で、純増額は6424億円だった。好調な資金流入を受け、9月は投信の新規設定数が平均的な月の約2倍の99本に達しており、投資家の運用の選択肢もさらに広がりそうだ。