2020年8月。東京五輪を観戦しようと来日した外国人観光客が、まず戸惑うのは、都心への玄関口である空港や駅だ。目当ての競技を見るには、どの交通機関を使えばいいのかわからない。そこで、頼もしい案内役が登場し、彼らに流(りゅう)暢(ちょう)な母国語で話しかける。
「どうしたの? 迷っているなら案内するよ」
観光客が振り向くと、ホンダの二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」が愛くるしく手を振っている。アシモは「この場所に行くなら、このルートが一番早いよ。料金も安いしね」と説明し、バス乗り場まで案内した。
こうした光景は決して夢物語ではない。アシモは、困っている人を認識できるようにする開発が急ピッチで進められているからだ。そのための実証実験が、7月3日、東京都江東区の日本科学未来館で始まった。
「アシモの体の仕組み」など3つのテーマを挙げ、どの話が最も聞きたいかをアシモが来館者に質問し、手を挙げた人が最も多かったテーマについて回答するという内容だ。