官民で日本株売り込み アベノミクス定着 東京五輪で注目再び | 毎日のニュース

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 証券各社が、海外投資家への日本株の売り込みに注力している。昨秋からの株価上昇で高まった日本株への関心は、5月の急落・乱高下で一服。しかし、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に対する評価は定着しており、2020年の東京五輪開催決定で再び、注目度が上がっている。各社はセミナーなど投資家向けイベントを拡充しており、閣僚の講演に人気が集まっている。

 「アベノミクスの進展が、日本株にとって非常に大きなプラスになる」

 13日、都内の大和証券本店で開かれた国内外の投資家向けのセミナー。講師を務めた三宅一弘チーフ日本株ストラテジストはこう強調した。大和は今回初めて、国内で開かれる日本株セミナーに海外投資家を招いた。セミナーは17日にも開かれ、2日間で国内外から計約300人の投資家が参加する予定だ。

 野村証券も7月、ニューヨークで6年ぶりにセミナーを開催したのに続き、12月には1500人以上の国内外の投資家を集めたイベントを開く。SMBC日興証券も12月、ニューヨークで同社初の日本株セミナーの開催を決めた。

 米国では、日本株の急上昇をもたらしたアベノミクスへの注目度は高い。米ウォール街では、ヘッジファンドなどが投資戦略を投資家らに紹介する「アイデア披露会」があるが、日本の主要株の買い材料としてアベノミクスが挙げられたこともある。

 日本株に対する海外投資家の態度について、野村の田村浩道チーフ・ストラテジストは「一時の熱狂は去ったが、東京五輪という買い材料が出てきて関心は高まっている」と指摘。SMBC日興の牧野潤一チーフエコノミストも「海外投資家は、ホテルや建設などの関連銘柄を買い越しているようだ」とみる。

 一方、政府関係者もセミナーの場を利用して、投資家に対してアベノミクスの説明に取り組む。

 みずほ証券が今月9日に開いた投資家向けセミナーでは、甘利明経済再生担当相が講演。甘利氏は、安倍首相が「10月1日」に消費税増税を最終判断すると明らかにして注目された。同社のセミナーで閣僚が講演するのは初めてで、会場には前回の約2倍に相当する320人の海外投資家が参加した。

 メリルリンチ日本証券が今月17日から開くセミナーでは、茂木敏充経済産業相が基調講演する。海外投資家は500人程度が参加予定で、同社は過去最高になると見込んでいる。