8日未明、国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長(当時)が2020年の五輪開催都市を「トーキョー」と告げると同時に歓喜に沸いたネット界。その波が収まるとともに、早くも五輪をめぐる事象をネタにする動きが表れている。パロディー写真が作られたり、落選都市に同情したり…。そこには“勝者”の余裕もにじんでいるようだ。
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ネットならではのパロディー化として登場したのが、ロゲ会長が発表時に示した紙の文字を自由に変えられる「ロゲ会長ジェネレータ」という名のサイト。肖像権の問題を引き起こしそうだが、文字を「TOKYO 2020」から「倍返しだ!」「夕飯まだ?」などと変えた写真が作られ、ロゲ会長が不本意な発表をさせられる画像が出回っている。
誤報でやり玉に挙げられているのが、第1回投票の結果を勘違いして「東京、落選しました」と公式ツイッターで発信してしまった朝日新聞だ。同様に中国の国営新華社通信も誤報したため、「朝日も落選してほしかったのか」とあらぬ疑いをかけられることになった。この第1回発表ではジャーナリストの池上彰氏もテレビ朝日系の特別番組で「東京落選です」と伝えており、「誤解を招く発表の仕方自体が問題」という指摘もなされている。
作品の予言性注目
落選したスペインのマドリードをめぐっては、市内に既にスタジアムが完成しており、「五輪競技場駅」もできていたという報道を受けて、同情の声が高まっている。「なんか申し訳ない…どんだけフライングなんだよ」「こういうところが経済危機になる理由だと思います」…。
一方、注目を集めたのが漫画家の大友克洋氏が1982~90年に連載し、アニメ映画化もされた人気SF漫画「AKIRA」だ。物語の舞台は五輪を翌年に控えた2019年の東京で、そこには「爆心地」があり、人類を滅ぼす「何か」が冷却・凍結され封じ込められているという設定。「原発と妙にかぶる」として、作品の予言性を指摘するツイートが相次いだ。