東日本大震災から2年半。岩手、宮城、福島の3県沿岸の被災地を覆いつくした1600万トン(環境省調べ)の「震災がれき」の処理が、今も懸命に進められている。作業は全国の自治体で行われており、輸送を担う鉄道が大きな力となっている。
震災がれきは被災自治体だけで処分できる量ではなく、全国で処分する「広域処理」が不可欠。しかし、受け入れる自治体で住民の反発が起きるなど、がれき処理は当初、停滞を余儀なくされた。
それでも、東北以外でいち早く受け入れを表明した東京都をはじめ、これまで17都府県で約45万トンが処理されている。
JR貨物によると、宮城県石巻市や岩手県大槌町など10市町村から約14万6千トン(7月末現在)のがれきが鉄道貨物で運び出された。
宮古市のがれきを最初に鉄路で東京都へ輸送したのは平成23年11月。その後も群馬県や石川県など各地へがれきを運搬してきた。昨年9月からは専用列車の運行も開始。現在は岩手県陸前高田、釜石両市などのがれきを密閉式の専用コンテナに積み、盛岡や石巻と東京の間を走る。震災がれきの完全処理は被災地再建の「原点」といえ、専用列車の運行はその意味でも象徴的だ。